特養入居で知っておきたいこと
高齢社会が進むなか、地域のあちこちにさまざまな介護施設や住宅が開設されています。そうしたなか比較的安い費用で、必要な介護を最期まで受けられるのが、特別養護老人ホーム(以下、特養)です。介護施設の中で最大のベッド数を有し、施設数は全国で約9500(2015年10月)。入居者数も約54万人に上っています。
特養はつい数年前まで「待機者52万人」「入居に何年もかかる」などと報道されていたため、「特養に入るのは難しい」といったイメージをもっている人も少なくありません。しかし最近では「特養の入居要件が基本として要介護3以上」になったことや、有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅(以下、サ高住)など他の介護施設・住宅も増えていることから、定員割れを起こしている特養もあるほどです。
まだまだ特養入居を決める際、「施設を選ぶ」よりも「いれてもらえるところに入る」というケースの方が多いのが現状です。しかし、ひとくちに特養といっても、施設によって特色や違いが多々あります。生活の実際や暮らしやすさは、施設によってかなり異なります。
入居する特養を決めるのは本人ではなく家族である場合が大半でしょうが、入居してから「こんなはずではなかった」と後悔しないためにも、また最期まで「自分らしく」暮らしてもらうためも、積極的に施設を見学し事前に知識と情報をもっておきたいものです。
ここでは、長年の活動経験をもとに、特養利用の際のガイドブック『介護オンブズマンがまとめた これ1冊でわかる特別養護老人ホーム』から、とくに大切な「食事」「入浴」「排泄」「楽しみ&外出・外気浴」に焦点を当て、施設による対応の差を伝えます。また、特養に求められている課題についても考えてみました。