外国人介護スタッフ応援隊養成講座(2021年11月)

外国人介護スタッフ応援隊養成講座

「日本語サポート方法」(澤田幸子・日本語教師)の講義を受ける皆さん。会場の他オンライン参加者も。

令和3年度大阪市ボランティア活動振興基金の助成を受け、2021年11月6日・13日・20日の3日間、『外国人介護スタッフ応援隊養成講座』をO―ネット事務局会議室で開きました。この講座は、介護施設で働く外国人スタッフをサポートする「応援隊員」(市民によるボランティア)を養成することを目的としたもの。日本語や日々の困りごとについて支援していきます。初めての取り組みながら講座の趣旨に共感する人も多く、受講生は会場・オンライン・ビデオ受講含め35名に上りました。

〇好循環を生み出す担い手に

「大阪市の外国人住民は14万人以上。市内総人口の約5%、20人に1人に上っています」初日の講義「大阪市で暮らす外国人のことを知ろう」でこう話すのは、山田真一大阪市市民局ダイバーシティ推進室係長。予想以上の住民数に、受講者から驚きの声がもれました。コロナ禍で入国制限が続く昨今ですが、留学や就労のための入国は目立たないながらも続いています。2021年6月末のわが国における在留外国人数は282万3565人※1。一方、同時期の総人口は1億2568万2000人※2。今や50人に1人は外国の人たちです。こうした中、介護施設で働く外国人スタッフも年々増加。そんな彼・彼女らに、気軽にサポートできるボランティアがいたら心強いのではないだろうか…。日本人の友達の一人として、定期的に会って話をすることで、日本語が上達し、介護の仕事や職場、そして大阪の街を好きになってもらえれば、介護の質向上や地域活性につながっていくのではないだろうか…。そんな好循環を生み出す担い手として「応援隊」を育てていこうというのが、この講座です。介護オンブズマン活動で培ってきた経験やノウハウも活かせると考えました。

※1在留外国人の推移(出入国在留管理庁)より。20年12月末に比べ6万3551人(2.2%)減少したものの、ベトナム(対前年末比0.4%増)・ネパール(同1.1%増)は増加。※2総務省統計局。 2021年7月1日現在確定値。

〇フラットな関係で向き合う

講座では介護施設の現状・日本語学習支援・相談援助方法を中心にカリキュラムを組みました。先述の山田係長の他、経験30年のベテラン日本語教師、オンブズマン活動施設の施設長、EPA介護福祉士候補生の受入れ・支援を担う国際厚生事業団関係者に講師を依頼。グループワークやジョークもふんだんに交えた講義となりました。「応援隊の役割は、先生・生徒という上下関係ではなく、フレンドリーな立場での会話を通して〈日本語で自分の思いを伝える〉〈気軽に質問できる〉といった力をサポートすること」と日本語教師の澤田幸子さん。「〈日本の文化・習慣を適宜伝え、生活を豊かにする手助けを行う〉、〈どんな困りごとがあるのか親身に耳を傾け、施設への橋渡しを行う〉、〈何でも話せて自分らしく過ごせるひとときを提供する〉。これらも応援隊の大事な役割です」。35名の受講生は、日本語教師の有資格者や日本語ボランティア経験者、海外在住経験者、医療・介護職経験者など。コロナの感染状況や施設の受入れ状を考慮しつつ、2月から体験実習に臨み、4月から順次、「応援隊」活動をスタートさせていきます。

外国人介護スタッフ応援隊事業開始(2022年4月)

2021年度大阪市ボランティア活動振興基金の助成を受け、担い手の養成を行った外国人介護スタッフ応援隊事業。体験実習や面接を経て、受講者35名のうち16名を応援隊員として認証しました。活動開始にあたって4月2日には初めての月例ミーティングを開催。活動のルールなどについて説明を行いました。中央共同募金会から助成を受け、4月からパイロット事業として活動をスタートさせました。

認証した応援隊員のうち9名は4月から3施設で活動を開始。月1回、60~90分間、主に対話活動を通して、日本語の習熟を図ったり悩みの聴き取りにあたったりしています。初めての活動だけに、まだ手探りの状態ですが、受入れ施設・応援隊員・O―ネットの3者が協力し、よりよい関係性を構築しながら、外国人スタッフをサポートできるよう模索しています。初回の活動では、「日本語能力試験と介護福祉士国家試験に合格できるよう頑張りたいが、一人ではなかなかうまくいかない」「夜勤もできるようになりたいが、他ユニットの利用者のことも把握できるか心配」「介助の仕方が間違っていたら言葉に出して言ってほしい」など、外国人スタッフから、さっそく応援隊員に不安・悩みが寄せられました。5月からは新たに4施設で活動を開始。オンラインで行うところもありますが、自己紹介では地図も広げてやり取りするなど、工夫しながらコミュニケーションを図っています。揺籃期だけにO―ネットではこの1年間、毎月応援隊員とミーティングを開いて情報交換を行っていく予定。隊員が一堂に会し、活動内容や日本語サポート方法、対応したケースなどについてアイデアを出し合ったり共有化を図ったりしながら、歩みを進めていきます。