特養入居で知っておきたいこと
日々の生活に彩りを与える“ひととき”はあるか
楽しみや外出・外気浴は、利用者にとって施設の生活に刺激や潤いを与えるものです。食事・入浴・排泄の三大介護を行うだけで精一杯の施設もありますが、ボランティアを活用しながら取り組んでいるところも少なくありません。
最近は要介護度の高い利用者が増えていることから、書道・生け花などのクラブ活動や、ゲームや軽い体操などのレクリエーションを実施しても、参加者が少なかったり十分楽しめていなかったりといった状況があります。集団によるにぎやかな催しよりも、ハンドマッサージやネイル、足湯、傾聴、寄り添いなど、職員やボランティアが1対1で利用者に接し、動きは少なくてもゆったりと楽しめる取り組みが喜ばれることも少なくありません。
外出・外気浴は、施設の外に出る機会が少ない利用者にとって、季節の変化や社会とのつながりを実感する貴重な機会です。希望を聞いて少人数のグループで買い物・外食・行楽を行ったり、年間行事の一つとして花見に出かけたりしているところや、誕生月に利用者の希望を叶える「夢プロジェクト」として、個別対応で外出の機会を提供している施設もあります。
外出・外気浴は施設間の差が表われやすいところです。施設の方針はもちろん、職員体制の充実度とも無関係ではありません。全般的に職員の層が厚いところでは、外出にも比較的よく取り組まれていると言えます。
地域との交流・連携は防災面でも重要
特養では、運営の柱に「地域との交流・連携」の強化を掲げているところが多くあります。施設から地域の夏祭りなどの催しに積極的に参加しているところもあります。また、敬老会に招待したり、ボランティアグループに日常的に携わってもらったり…と、地域の人々を施設に招いて関わりを図っている施設も少なくありません。地域に開かれた施設となることは、地域の人々が特養に関心を持ち、理解するきっかけにつながります。
施設が地域との関わりを深めることは、防災面でも望まれます。火災、暴風雨・震災などで避難が必要になった場合、職員だけでは手が回りません。日頃から地域の人々に協力を依頼しておくことは、緊急時の心強い備えとなります。