事例総件数411件、平均改善率84%
とまらない利用者の重度化と職員不足。

2018年7月発行 A4判、74ページ 定価1000円
2016年4月から2017年3月まで、約80名の市民オンブズマンが延べ42ヵ所の施設で活動した記録。対応した事例総数は411件で、2015年度345件から66件アップしました。
事例件数増加の要因には、利用者の重度化と職員の人手不足が影響しあってケアが行き届きにくくなってきたこと、それにつれてオンブズマンが施設に伝えざるをえないことも増えたことがあります。オンブズマンからは、介護の質が低下傾向にあるのではないかという懸念の声も挙がっています。
事例はソフト面・ハード面合わせて16項目に分け、各項目ごとに件数・改善率を集計するほか、主な事例を具体的に紹介しています。全体の平均改善率は84%、2015年度と同様です
事例1「失禁してシーツが濡れているが、そのうち乾くだろう」
オンブズマンが利用者の居室で聴き取った声です。重度化が進むと居室で過ごす時間が増え、利用者はケアコールしても職員が直ぐには来てくれないと諦めているのか、多忙な職員に遠慮しているのか、我慢しています。施設には「排泄チェック表」を作り排泄のタイミングに声をかける、利用者のケアコールには時間をおかずに対応するなど、細やかなケアをお願いしました。
事例2「立ったままで食事介助をしている職員がいた」
オンブズマンの気づきです。職員が立位だと利用者の顔が上向きになり、むせや誤嚥の原因にもなります。施設に伝えたところ、オンブズマンの指摘についてユニット職員全員に周知、検討されました。以後、職員が立ったまま食事介助することはなくなりました。
事例3「親に間違えて下剤を処方したと、施設から連絡を受けた」
オンブズマンが家族から聴き取った声です。以前は精神安定剤を服薬され、三度目があるのではと不安気でした。施設には配薬マニュアルの作成や遵守はもちろん、職員全員が薬についての知識を持ち誤薬防止を意識づけられるよう、研修なども必要ではないかと伝えました。


1. 活動期間
2016年4月~2017年3月
2. 活動施設
延べ42ヵ所(ただし、寝屋川十字の園は2016年10月で終了。大仙もずの音は2016年7月・博愛の園は8月・天の川明星は11月・宝塚市立養護老人ホーム福寿荘は2017年1月から開始) ※グループホーム・小規模多機能型居宅介護事業所除くく
①特別養護老人ホーム/愛港園、あけぼの苑、あしや聖徳園、あすか八尾、天の川明星、大阪市立弘済院第一特養、加寿苑、喜志菊水苑、光明荘、信貴の里、四天王寺きたやま苑、四天王寺たまつくり苑、四天王寺悲田院、寿光園、ジュネス、成法苑、せっつ桜苑、高槻けやきの郷、宝塚ちどり、大仙もずの音、高山ちどり、つどうホール、つるぎ荘、中山ちどり、なごみ、にしのみや聖徳園、寝屋川十字の園、年輪、萩の台ちどり、博愛の園、ひらかた聖徳園、藤井寺特別養護老人ホーム、まちかどホームすずらん、ロングステージKOBE岡本、YMCAサンホーム
②介護付有料老人ホーム/エイジガーデン北加賀谷、ライフ・イン京都
③介護型ケアハウス/中山ちどり
④サービス付高齢者向け住宅/大領の家 ⑤グループホーム/宝塚ちどり、ゆめ長居公園 ⑥養護老人ホーム/宝塚市立養護老人ホーム福寿荘