事例総数279件、平均改善率89%
「リハビリ」の件数が増加の一方、「楽しみ」「外出」が大幅に減少
2018年4月から2019年3月まで、約60名の市民オンブズマンが特養・介護付き有料老人ホーム・介護型ケアハウス・サ高住・グループホーム・養護老人ホームなど延べ39施設で活動した記録。
施設に伝えた事例総件数279件(2017年度397件)の中から、主な事例をソフト面・ハード面ともに抜粋し、分析しています。
平均改善率は89%(2017年度84%)でした。
事例件数が昨年度より減少したのは、活動するオンブズマンの人員不足により、一部の活動施設の訪問回数を月2回から1回に変更したことが関係しています。
事例件数は減少しましたが、オンブズマンが一つ一つの事例に丁寧に向き合い対応した結果、改善率はアップしました。
ソフト面は施設生活や介護に関わる事柄で、排泄・食事・入浴・リハビリ・身だしなみなど14項目を挙げています。
その中で前年度に比べ事例件数が増えたのが「リハビリ」、ほぼ変化がなかったのが「車椅子」。
反対に減少したのは「楽しみ」「外出」でした。これらから利用者の重度化がますます進んでいる施設に現状が感じ取れます。
ハード面は生活環境に関する事柄で、居室と共有空間の2項目からなります。事例には「トイレの扉やカーテンを開け放したままになっている」など、暮らしの配慮に欠けるものもありました。
事例1「夜、うとうとしていたら幾度かおむつを替えにきて目が覚める」
利用者の声をオンブズマンが伝えました。利用者は就寝が早いこともあり、おむつ替えの回数を多く感じていたようです。施設は改めて利用者の尿量を測り、パットやおむつを吸湿性のよいものに変更。結果、朝6時半までおむつを替えなくてもよくなりました。
事例2「入浴時、浴室の扉を開けたまま暖簾だけで出入りするので室内が見える」
施設もよいこととは思っていなかったのですが、扉を閉めると湿気が脱衣所に籠ってしまうという課題がありました。オンブズマンがプライバシーへの配慮をお願いしたことにより、浴室の入口前にパーティションを置いて見えないようにする工夫がされました。
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