介護職と看護職の対等な関係づくりから始まる看取り
Oーネットでは2018年度終盤に、職員研修『介護施設ならではのターミナルケアを進めるために』(1月17日・参加者51名)を開きました。研修は山内恵美・白寿苑看護担当課長が死生観について、八尾英人・あんり施設長が介護職と看護職の連携について講義。グループワークやビデオ視聴もあり、受講者の皆さんも熱心に聴講していました。
●連携には「看取りの指針」が不可欠
利用者の尊厳を保持した看取りには、介護職と看護職がそれぞれの専門をいかしながら協同し、対等の立場で業務連携することが必要です。皆さんの施設で看取りが始まると、介護職中心のケアになったり、介護職が看護職に遠慮したりすることがあれば、それは違います。
連携を進めるためには、利用者さんに対してだけではなく、共に働く仲間への思いやりや心遣いも意識してください。互いの役割や意見を理解し、職員同士が歩み寄る気持ちがキメ細やかな看取りにつながります。
また、介護と看護の協働を増やし連携体制を整えるためには、施設ごとにしっかりと「看取りの指針」を立てることも大切です。
指針とは、その施設では看取りをどう考えているか、どのような看取りをするのかを示すものです。指針を明確にすることで、看取りに関わる多職種の職員がチームとして、同じ意識を持ち同じ方向を向いてケアを行うことができます。
そして、指針に沿った具体的なマニュアルを作り、それらを職員が共有することが不可欠です。
●マニュアル活用で緊急時の対応も的確に
マニュアルでは「利用者の急病や病状急変」などについて、施設や職員がとるべき対応をケアチームのだれもが分かるようにしておきます。
例えば、配置医師や協力医療機関への連絡方法や、夜間待機看護師の予定表を分かりやすいところに掲示する。緊急時に介護職員から診察を依頼するタイミングについては、医師や看護職員から利用者の観察ポイントについて「○○の症状が予想されるので、そうなったら□□に連絡を」というように具体的な申し送りを徹底する、など。これらマニュアルを共有し実践できるようすることで、介護と看護の連携がスムースになります。このように、いざという場面で何をすべきかが分かっていると、介護職員の看取りへの不安も少なくなるでしょう。