利用者・ 家族とのコミュニケーション
Oーネットでは2018年度終盤に、職員研修『より良い人間関係を築くために〜利用者・家族とのコミュニケーション』(2月7日・参加者48名)を開きました。研修は慶生会在宅事業本部居宅事業部長で大阪市認知症介護指導者の松原宏樹さんが講師に。グループワークやビデオ視聴もあり、受講者の皆さんも熱心に聴講していました。

松原宏樹さん
コミュニケーションは信頼関係を築くためのツール
介護現場におけるコミュニケーションとは、利用者との関係性を築き、一緒に歩んでいくためのツールです。単なるおしゃべりや世間話とは違う。そこには「信頼関係を育む」という大切な目的があります。
介護職員だからと言って利用者が受け入れるとは限りません。「一緒に日々の生活をつくり、認め合ってきたか」という基盤が不可欠です。だから単に話法だけを学んでも意味がない。どう受け止め、どう捉えたのか、そこまで掘り下げないと適切な支援に結びつく会話とはなり得ないのです。
相手を理解し、その価値観を認めるには、自分自身の価値観を知り、向き合うことも必要です。それができれば知識・技術とともに、利用者との関係性も自然に築いていけます。
家族とのコミュニケーションにおいても、利用者と家族との「介護以前の歴史」を把握しないと良い関係は築けません。家族の立場や状態に配慮し利用者・家族の両方に関わっていくことが、これからの専門職には一層求められます。
ところで、信頼関係を育むコミュニケーションを考えるうえで紹介したいのが下図(コミュニケーションのフレーム)です。最初の段階の「ペーシング」とは相手に合わせて対話を図るスキルのこと。相手の動作に合わせたり言葉を受容したりして相手理解に努めます。真ん中は「ラポール(信頼関係) の形成」。「自分のことを分かってくれている」という建設的な関係が築けた段階です。そして最終段階「リーディング」。相手の望む方向にエンパワーしていくことです。利用者本位のケア、利用者を尊重した関わりには、この3つの枠組みに基づいたコミュニケーションが求められます。