①施設見学に好意的か
「見学したい」と施設を訪れても、すんなり受け入れてもらえて見学できる施設は、概して介護内容も良く、オープンな施設。日頃から、家族の面会、地域のボランティアなど多くの人が出入りしていることが少なくありません。職員以外の「多くの人の目」があることは「不適切な介護」を防ぐ抑止力にもなっています。
②職員や利用者の様子を見る
職員については、穏やかな態度で利用者に接し、「目線を合わせて言葉かけをしているか」「利用者の言動を見守り、待つことができているか」に着目しましょう。
利用者については、「穏やかで明るい表情の人が多いか」「こざっぱりと清潔感ある服装をしているか」に注意して見ましょう。要介護度が同じぐらいでも、「その人らしく」暮らせている施設の利用者は相対的に元気に見えるものです。
③施設長の関わり方を見る・聞く
施設長は「施設の顔」であるだけに、「施設の善し悪しは施設長で決まる」と言っても過言ではありません。施設長自らが、めざすべき施設介護のビジョンをもち、こまめにフロアや居室に足を運んだり利用者に声をかけたりしているところは、介護も比較的充実しています。
④多様性はあるか
利用者の身体状況に応じた生活環境やサービスが「多角的に用意されているか」は、その施設の介護力を推し量る一つの目安にもなるので大事な点です。
例えば、
①車椅子は標準型だけでなくモジュール型など身体に合わせたさまざまなタイプが使われている
②食事スペースのテーブルと椅子は高低のあるものを揃えている
③移乗用のリフトやスライディングボードといった福祉機器や用具も用意されている
などは見学時に目にしやすいポイントです。
⑤玄関ロビーや建物の立派さだけに目を奪われない
建物や玄関ロビー、庭園は見事でも、施設の生活が利用者にとって快適かどうかは分かりません。施設の豪華さよりも、居室に個々人のなじみのものがあるなど、その人らしく暮らせる空間になっているか、清掃は行き届いているか、に注意を向けましょう。
⑥苦情相談への対応を見る・聞く
社会福祉法では、社会福祉事業者に「利用者からの苦情の適切な解決に努める責務」が規定されています。施設の相談窓口担当者や、施設が委任した第三者委員、あるいは介護オンブズマンや介護相談員などの「相談窓口」について、玄関ロビーやフロアなどに分かりやすく表示されているか、確認しましょう。掲示がない場合は相談体制について聞いてみましょう。
「苦情のない施設」が必ずしも「良い施設」であると言えません。大切なのは施設に、要望や意見を言える「体制や雰囲気があるか」、伝えたことに「真摯に向き合う姿勢」があるかということ。見落としがちですが、安心して暮らせる施設選びのための重要なポイントです。