利用者のライフヒストリーから見えてきたもの
特養で暮らす利用者は、身体状況の悪化や慣れない集団生活の中で、自分らしさをどう保ちながら日々過ごしているのか――。さまざまな葛藤を抱えながらも、何とか自分自身に折り合いをつけて生きる利用者10人の“これまで”を、利用者と施設との「橋渡し役」となって活動している市民オンブズマンがじっくりと話に耳を傾けながら描き出したのが本書です。特養で暮らす人々のライフヒストリーはこれまでほとんど例がないだけに、社会的にも極めて意義のある冊子。本書を通して、身体的ハンディを負いながらの最晩年を「自分ならどう生きるか」について考えたり、高齢者介護において“いま”や“これから”だけでなく利用者の生きてきた“過去”にも関心を寄せることの大切さを実感する機会にもなるはずです。
【目 次】
はじめに
研究の概要
10人のライフヒストリー
(1)いい爺さんで死にたい
(2)やっとたどり着いた安住の地
(3)自分の人生は自分で決める
(4)小さな生き甲斐、大きな自分らしさ
(5)血縁を超え、地縁・結縁に支えられて
(6)華やぎの昔日の中に
(7)妥協せず、施設生活の理想追う
(8)今は亡き妻を胸に、生きる強さの源に
(9)キムタクさんのギャラリー
(10)歳月は二度と来たらず百一歳
10人のライフヒストリーから見えてきたもの
おわりに