日本社会福祉弘済会助成事業
【職員研修】会場とオンラインによるハイブリッド型
~介護現場を共に支える仲間を理解するために~
「生春巻き」や麵料理の「フォー」、 「ベトナム戦争」や「枯葉剤」、最近では「技能実習生」…。身近になってきたとは言え、知らないことも多いベトナムという国。日本で暮らすベトナム人は47.6万人※1 に上り、介護分野でも担い手が増えています。ベトナムについて学んでみることで「職場の同僚」としての会話や関わり方も変わってくるのではないか…。そうした思いをもとに、10月4日(火)、介護職員研修を開催しました(助成:日本社会福祉弘済会)。会場はドーンセンター。施設関係者を中心に40名(会場・オンライン)が参加し、他にはないユニークな学びの機会となりました。
<プログラム>
講義①:歴史・社会体制・国民性・介護/ファン・ティ・ミー・ロアン大阪大学外国語学部ベトナム語学科教授
講義②:技能実習生の調査から見えてきたコミュニケーションへの配慮/道上史絵津山工業高等専門学校特命助教
発表:生活文化/グエン・ティ・ホアさん(ナーシングホーム智鳥)、レ・キム・タンさん(ふれあいの館しおん)
厳しい歴史をくぐり抜けてきた国
「紀元前から1980年代に入るまで、国として平穏な期間は非常に少なかった」。開口一番こう話すロアン講師。
ベトナムは紀元前から千
年間、中国の支配下にあり、頻繁に中国と衝突。しかし10世紀には中国軍を破り、独立を勝ち取りました。
その後15世紀後半から18世紀にかけては、自国が南進政策を進め、メコンデルタを侵略。19世紀半ばからはフランスに侵略され、太平洋戦争では日本軍の占領下におかれ、1946~54年の抗仏戦争、54年の南北分断、55~75年のベトナム戦争、79年の中越戦争と、怒涛の歴史を駆け抜けてきました。
経済発展著しい同国ですが、そうした歴史に、海で守られてきた日本にはない厳しさを感じました。農業が全産業の6割を占めるだけに、今も豊作を願う年中行事や家族・地域との絆が重視されています。
「初対面ではシャイですが、家族だんらんを大切にし、とても話好き。あれこれ尋ねるのは、相手のことをよく知りたいと思うからです」
3・4世代が一緒に暮らす家庭が多く、一昔前の日本同様、高齢者を介護するのは子の役割と考えるのが一般的。「最近は家政婦の助けを借りて高齢者を支える家庭も少なくありません」。高齢者施設は増えているものの、体育館ほどの大部屋での介護が多く、「施設入居はベトナムではまだ抵抗感が大きく、浸透していないのが現状です」
来日後評価が下がる「日本人は親切」
道上講師は、技能実習生を対象とした調査結果※2 から来日前後の日本に対するイメージの変化を分析し、日本人の関わり方に警鐘を鳴らしました。
来日後大きく評価が下がったのが「日本人は親切だと思う」という項目。職場で「母国語は禁止」と言われたり、上司の「大きな声」や「不愛想な表情」に「叱られている」と感じたりすることが多いようです。また日本語には同じもの・ことでも複数の言い方があるため、それを日本人が配慮なく使うと混乱し、「親切でない」「冷たい」といった印象につながるようです。
こうしたことを少しでも改善するには、指導・支援役の職員は「こまめに、繰り返し、外国人職員の反応を確かめること」と道上講師。「言葉(日本語)の正確さよりも、理解しやすいよう臨機応変に別の言い方に変えてみたり、言葉以外のものも活用したりして、コミュニケーションを図ることが何よりも大切です」
※1 出入国管理庁2022年末現在
※2 技能実習候補生・実習生を対象に質問紙調査、技能実習生へのインタビュー調査・就労現場のやり取りの分析 (2020年~2022年 道上)
日時:2022年10月4日(火)13時30分~16時
会場:ドーンセンター5階 大会議室2【会場参加の場合】
開催方法:会場とZoomによるオンラインのハイブリッド型
講師:
ファン・ティ・ミー・ロアン 大阪大学外国学部外国語学科ベトナム語専攻講師
急速な経済発展を遂げた日本に興味を持ち、大学在学中、交換留学生として来日。
卒業後、日本語教師や日本総領事館での勤務経験を経て、2001年に当時は珍しかった私費留学生として再来日し大阪外国語大学大学院修了。
2013年から大阪大学外国語学部(旧・大阪外国語大学)ベトナム語専攻教員。
道上史絵 津山工業高等専門学校特命助教
大阪外国語大学ベトナム語専攻卒業、大阪大学大学院博士前期課程修了。現在、津山工業高等専門学校で留学生の日本語教育を担当。共著に『技能実習生と日本語教育』(大阪大学出版会)など。
対象者:介護施設・事業所で働く管理者・介護職員・看護職員・生活相談員など
定員:70名 ※会場参加30名(申込先着順) オンライン参加40名(9月27日締切)
受講料:2,500円+税(税込2,750円)/人・O-ネット会員施設1,200円+税(税込1,320円)/人
【プログラム】
13時30分~13時45分 オープニング、お知らせ
13時45分~15時15分 もっと知りたいベトナムのこと!
~介護現場を共に支える仲間を理解するために~
15時15分~15時25分 休憩
15時25分~15時55分 介護現場で働いて 日越の違い、あんなこと・こんなこと
ベトナム人介護スタッフ2名の発表
15時55分~16時 まとめ、終了
申込方法:下記の手順でお願いします
①下記申込フォームに必要事項を入力し、送信してください。
② 研修申込ご担当者に「仮受付」のメールまたはFAXをお送りします。
受講料をお振込ください
受講料のお振込は下記へお願いいたします。
郵便振替 口座記号番号 00940-2-154470
加入者名 NPO介護保険市民オンブズマン機構大阪
③お振込みを事務局で確認後、研修申込ご担当者に「申込受理」のメールまたはFAX(会場参加の方は地図添付)をお送りします。
④オンライン参加の方は、受講される方のメルアドに、研修前にURLとレジュメをお送りいたします。
会場参加の方は、研修当日、レジュメをお渡しいたします。
◆FAXでお申し込みの場合は用紙を コチラ からダウンロードしてください。
ベトナムの生活文化FAX用紙
<申込フォーム>
※ お電話は水・土・日・祝を除く10:00 ~ 17:00 にお願いします。
主催・問合せ先 介護保険市民オンブズマン機構大阪(通称O-ネット)
職員研修実行委員会事務局
〒530-0041 大阪市北区天神橋3-9-27 PLP会館3階
TEL 06-6949-8192 FAX 06-6949-9296
Mail o-netnpo@train.ocn.ne.jp