入居要件引き上げによる特別養護老人ホームの変化
特別養護老人ホームでは2015年度から介護保険制度の見直しにより、入居要件が原則として「要介護3以上」に引き上げられました。こうした制度見直しに伴い、そこでの暮らしの風景も少しずつ変わってきています。入居要件の引き上げによってどのような変化があるのか…、施設の現状はどうなのか…。大阪市内の特養施設長を中心に、アンケート調査を実施した結果をまとめたのが本書です。
調査の結果、①利用者の対する「食事介助」を筆頭に介護負担が増大している、②業務に追われ、利用者との対話時間が減少している、といった現状が浮かび上がってきました。
入居要件の引き上げにより利用者の重度化が進むなか、ともすれば介護業務と医療処置で手いっぱいになりがちな特養において、これまで標榜してきた「生活の場」としての役割をどう維持していくのか――。よりよいケアを維持するには、認知症への理解をはじめとする職員教育の充実が欠かせないことも見えてきました。
2色刷で、利用者の要介護度や待機者数の変化などを表やグラフで表示。施設長の生の声も多数掲載しています。市民の立場から企画したユニークなアンケート。施設関係者・一般市民、双方の方々の関心に応えることができる報告書です。
【目次】
Ⅰ 調査の概要
Ⅱ 入居要件引き上げ前後における利用者受入れ状況の変化
Ⅲ 入居要件引き上げ前後における介護業務・取り組み内容等の変化
Ⅳ 2015年度以降の介護職員の確保と求められる力
Ⅴ 2015年度以降の取り組みへの対策と施設長の意見
Ⅵ 2018年度の新設加算と報酬改定についての施設長の意見
Ⅶ まとめと考察