外に出たい!家族に会いたい!
ほとんど報道されなかった、施設で暮らす高齢者の声…
2020年2月から始まった新型コロナウイルスの感染拡大により、当時41か所あったすべての施設において活動が中止されました。その後、同年6月以降、オンブズマンの受入れを再開する施設もありましたが、大半の施設では活動できない状況が続いたため、オンラインで、施設で暮らす利用者の方々の声を聴き取ってきました。
本書は、そうしたコロナ禍における3年間のオンブズマン活動の記録です。
家族との面会が制限され、外出もほぼ無理という、閉鎖的な空間に身を置く利用者がどのような思いでいるのか…。目立ったのが、「退屈」、「外気に触れたい」「散歩したい」、「家族と会いたい」「面会時間が短い」といった声の数々でした。非常に限定的ではあったものの、オンブズマンがそうした利用者のささやかな要望や思いに耳を傾け、施設の対応改善につなげたケースもありました。
一方で、重症化リスクの高い利用者の方々の命を守らなくてはならないという、介護現場が置かれている状況の厳しさも、活動を通して肌で感じてきました。
コロナ禍において、あまり報道されなかった利用者の声・施設関係者の声を記し“軌跡”とした本書――。施設介護に関心のある方々にとって、貴重な参考資料となる一冊です!